保険業法改正によるホワイトスペースを狙うSEIMEIの戦略と、伴走型支援のリアル
保険流通のDXを推進する「SEIMEI」とは?
– まずはSEIMEI株式会社の事業内容と、掲げているミッションについて教えて下さい。
当社は「全ての人々に最高の保険体験を届ける」というミッションを掲げ、2017年に設立したInsurTechスタートアップです。主な事業として、国内最大の保険プラットフォーム「ソリシター君」の開発・運営を行っています。
保険業界には複数の保険会社商品を取り扱う乗合保険代理店チャネルがあり、そのシェアは年々拡大しています。しかし、現場の保険営業パーソンにとっては、各保険会社で異なる「医的引受目安(病名ごとの生命保険加入審査基準目安)」などの業務情報を各社ごとに検索するコストが大きな負担となっていました。
当社はこれを一括で検索可能にする「ソリシター君」を提供することで、保険営業パーソンの検索コストを削減しています。いわば「不動産レインズの保険版」を創り上げることで、保険営業パーソンの生産性を高め、消費者がより適切な保険提案を受けられる機会を創出しています。現在、保険営業パーソンユーザー数は18,100人を超え、その中の有料ユーザー数も毎月増加しており、保険業界のインフラサービスになっています。
改正保険業法という「神風」と、新市場への進出
– 直近の事業進捗を教えて下さい。
今年、保険業界は10年ぶりの保険業法改正という大きな変革期にあります。きっかけはビッグモーターによる保険金不正請求事件でした。これを受け昨年、生命保険協会はガイドラインを改正し、生命保険会社が広告費を保険代理店に代わって負担するマネーセミナーや、生命保険会社による保険代理店募集人へのセミナー講師業務提供が、過度な便宜供与であるとして事実上禁止されることになったのです。
結果として、2026年3月末までに全生命保険会社がセミナー事業から撤退することが決まりました。これにより、これまで生命保険会社主催によって成り立っていたマネーセミナー市場が「空白地帯」となりました。
– それがSEIMEIにとって、なぜ大きなビジネスチャンスになるのでしょうか?
生命保険会社の撤退により、突発的に「マネーセミナー市場」が誕生したからです。消費者の「お金の悩みを専門家に相談したい」ニーズと、保険営業パーソンの「見込客に出会いたい」ニーズにはそれぞれ変化はありませんが、運営を担ってきた生命保険会社が法改正で完全撤退したわけです。
そこで国内No.1の保険営業パーソンユーザーを抱える当社が、新聞社やラジオ局と提携してマネーセミナーを主催し、セミナーに訪れた消費者と、ソリシター君ユーザーである保険営業パーソンをマッチングする。この新市場を独占する絶好のタイミングが訪れたと考えています。
単なるマッチングを超えた「経営者の哲学」への共鳴
– 何が決め手となって弊社を選ばれたのでしょうか?
岡村さんの最大の強みは、経営者の熱量と市場機会を投資家向けに「さりげなく」訴求するスキルです。
当社は2年前に、岡村さんのご紹介でピッチイベントに参加させて頂きました。このイベントで上場企業ロジザード創業者遠藤様から、個人として3,000万円のご出資を頂くことができました。岡村さんには、私のバックグラウンドを踏まえ、当社事業が「なぜ今、私にしかできないのか」というストーリーを客観的にご理解頂いてます。
– 他にも「特に助かった」と感じた具体的なポイントは?
メディア提携の交渉です。例えば当社がMBSラジオ様と提携できたのは、岡村さんから適切なキーマンをご紹介頂けたことがきっかけでした。
– マネーセミナー事業は現在どのように前進していますか?
各メディア企業様とセミナー開催を次々と決定しています。2025年12月に最初のマネーセミナーを中日新聞グループ様の告知協力で実施しました。
– 経営面での意識の変化はありましたか?
マネーセミナー事業はいくつかの変数で構成されるシンプルなビジネスモデルなので、ユニットエコノミクスを検証し、再現性のある成長戦略を描けるようになりました。
SEIMEIの今後の展望と、資金調達にお悩みの方へ
– 今後、さらに事業をどう成長させていきたいですか?
まずはマネーセミナー市場を迅速に獲得していきますが、プロダクトにおいてはソリシター君もセミナー事業もAI実装してより使いやすいサービスに変えていきます。
– 今、資金調達で悩んでいる経営者の方へアドバイスをお願いします。
資金調達をするべきかしないべきか、まずはご自身で熟考されてみて下さい。私は原則、エクイティーでの資金調達はしない方がベターであるという考えに至りました。直近の厳しいマーケット環境もありますが、バイブコーディング等で開発コストが大きく下がっているので、自己資金だけでも事業を進めやすい環境になっています。
それでも外部資本を入れるという意思決定をしたならば、岡村さんのような外部アドバイザーに相談しながら、時間をかけずできるだけ迅速に集めきるのが良いでしょう。
取材協力
SEIMEI株式会社(SEIMEI Inc.)
- 所在地:東京都港区六本木7-18-18 住友不動産六本木通ビル2階
- 事業内容:保険プラットフォーム「ソリシター君」の開発・運営
- コーポレートサイト:https://seimei.co/
代表者プロフィール:津崎桂一(Keiichi Tsuzaki)
東京大学法学部卒、開成中学・高校卒。大学卒業後、ジブラルタ生命保険株式会社に入社。MDRT・TOT会員登録2回、行政書士。2017年にSEIMEI株式会社を創業し、保険プラットフォーム「ソリシター君」の開発運営を行う。