【取材記事】 「属人化の限界を超えたかった」 従業員100名の中堅企業が挑んだ、“営業構造改革”のリアル

「営業は、個人の力に頼るしかない」
創業以来、そんな考えで走り続けてきたという、ある中堅企業の代表取締役。
社員数は約100名、業界では安定的なポジションを築きつつある企業だったが、ある時期を境に売上が伸び悩み、現場の疲弊が目立ち始めた。
「人を増やしても、売上は比例して伸びない」
その違和感の正体は、“営業体制の属人化”だった。
「成果が人に依存している」状態の危うさ
どんなに優秀な営業担当がいても、その人が辞めた途端に数字が落ちる。
見込み客の管理も、商談の記録も、担当者の頭の中にしかない。
「このままでは“仕組みのない組織”として限界が来る」
そう危機感を抱いた経営陣は、営業の再設計プロジェクトに着手する。
営業“支援”ではなく、営業“構造”を見直す
当初はSFAやMAなどのツール導入を検討したが、成果は限定的だった。
「ツールは手段であって、体制がなければ機能しない」ということを痛感したという。
そこで注目したのが、営業支援とBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を掛け合わせた外部支援体制だった。
“成果が出る仕組み”を社外の力で伴走構築
実施した取り組みは以下の通り:
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インサイドセールスの導入とプロセス整備
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商談に繋がるリードのスクリーニング基準を標準化
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営業進捗とKPIの可視化(CRM/SFAと連携)
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定例ミーティングによる外部コンサルとのPDCA実施
結果として、営業の成果が徐々に**「誰がやっても一定水準以上を出せる状態」**に近づいたという。
経営者が変えたのは、“仕組み”への意識
「属人化って、楽なんです。成果が出てるうちは、見て見ぬふりもできる。でもそれは、“未来の成長を止めてる”のと同じだった」
経営者として、営業現場に何を残すべきか。
その答えは、**“頑張り”ではなく“再現性ある仕組み”**だった。
編集後記
営業課題の本質は、「人材の質」ではなく「組織の設計図」にある。
どれだけ人を採用しても、仕組みがなければ再現性は生まれない。
属人化を超えた先にあるのは、“仕組みで勝てる組織”という、新しい営業のかたちだ。